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穂高・槍、冬の旅 1

今年の冬山行は12日間となった。

昨年の黒部横断同様、やはり特段得たものというのはなく、強いて言えば白いご飯が格別に美味い。ということくらいだ。

その他愛もない感覚が現代において尊く、癖となってしまっているだけのことである。

 

なんて世間様に説明しようのない生活を送っているのだろう。

どうしようもなくろくでもないのだ。

 

 

黒部の記憶が苦も楽も混同してきた頃、

「もう懲りた?今年もどう?」

 

懲りて?ないよ。

僕をけしかけるには一番最適な誘い文句だった。

 

紆余曲折あり、2人(2頭)での山行となった。

ノンデポで2人で黒部横断というのは少々現実味が薄い。

ということで、というのは少し乱暴だがこの冬の遠足はパチンコということになった。

 

それに向け準備が本格化したのが1月。

米子や錫杖で実際の生活技術や登攀の手順を試してみたりした。

本番の1週間前に出かけた錫杖で、僕は派手目に墜落し、大事はなかったものの身体中打ったり捻ったりで翌週は天候大荒れになればいいと考えたが、そうはならなかった。

 

 

・2/21(1日目)入山~横尾

車を大町の友人宅へ置かせてもらった後、松本駅でハマの暴れ馬山本と合流する。

途中、デポしたり捨てたりできないので現地までの荷造りにも気を遣う。

余計なものを持っていればそれは最終日まで重りとして持つことになる。

 

松本駅バスターミナルからバスで中ノ湯まで。

長期ではザックはパイネのガッシャブルムスペシャルカスタム仕様を使うのだが、いつも代わり映えしないのでシュッとしてみたかったのだが、実際パッキングすると結果とっ散らかってしまった。

こんなパッキングは全くお勧めしない。というかやっちゃだめだ。

まさかというところに引っかかるし、体もグラングランに振られる。ザックを地面に置く際にも必要以上に気を遣う。

登る際は登攀具は身に着けるから、、、と考えたのだが、結局最終日も外付けは残った。

 

スノーシューで足取り軽やかなハイカー横目に根暗なチンドン屋は前かがみ。

湿った降雪があった後で側壁からの雪崩に少し心配しながら横尾まで。

日没を過ぎてついても水が豊富で助かった。

初日の夕飯は景気づけでツルヤで仕入れた冷凍ハンバーグと肉団子。